急激に気温が上がる日も増えてきました。今月後半には梅雨もやってきます。人間の排泄機能の一つに『発汗』がありますが、同じ気温でも汗をかきにくい人もいれば、ダクダクとかく人もいます。発汗作用は体温調節には欠かせない機能ですが、出したくないからと言って自分で止めることはできません。ならばせめて、いい汗がかけるように心がけてみましょう。
発汗を司っているのは自律神経。体温調節としての『温熱性発汗』の場合、大脳の視床下部から体温を下げるよう命令が出されると交感神経が優位に働き、アセチルコリンという神経伝達物質が分泌されて作動し汗腺から汗を出して体温を下げます。
実は、体温調節で汗をかける動物はヒトと馬ぐらいだと言われています。ヒトは進化の段階で狩りなどをするようになりたくさんの運動量が必要となってきました。体熱が上がりすぎるという事は、身体の組織・・・特に熱に弱い脳にとってはあまりよくないことです。そこで、全身で汗をかいて熱を下げるという機能が発達してきたと言われています。
肉球にしか汗腺が存在しない犬などは、真夏に全速力で走っても15分ぐらいが限界。汗をかかない代わりに、口を開けてハッハッとパンティングをして脳に行く血液を冷やします。その点人間は全身から出せる汗によって効率的に体温を下げることができるので、体を慣らせば真夏のマラソンも可能になったというわけです。
『精神性発汗』のように、手足やワキなどからどっと出るような汗は、脂質やタンパク質を多く含んでいるので色やニオイ・べたつき感がありますが、『温熱性発汗』の場合は、そのほとんどが水分。体温調節をするほかにも、毛穴をキレイにしてお肌の代謝を上げ、デトックスをする役割もあるので、美肌効果にも期待がもてます。
ヒトは冬でも睡眠中にコップ1杯の汗をかくと言われていますが、これは質のいい睡眠を得るために睡眠時に発汗作用が働き、脳と身体の深部温を下げているから。この時の汗には免疫グロブリンが含まれており、お肌の免疫力や保湿力を上げてくれる働きもあります。睡眠中の汗にも美肌に欠かせない排泄効果があったのですね。
しかし、その汗のかき方にも個人差や年齢で変化が。実は、ちゃんと働く汗腺の数は2歳半までの環境で決まってしまうそうです。その後大人になっても数は変わりませんが、汗腺の機能を活発に鍛えることはできるので、幼少期を寒いところで過ごして活性汗腺の数が少ない方は、汗腺を鍛えましょう。
同じく、年齢とともに汗をかきにくくなったという方も、もしかしたら活性汗腺の働きが衰えているのかもしれません。その場合は、かきやすいところに集中するので、部分汗が増加している場合もあります。
汗腺は衰えやすいのですが開きやすいという特徴もあります。お家で簡単に汗腺を鍛えるには、【高温の手足浴】がおすすめ。浴槽に手首足首がつかるぐらいの42~44度の熱めのお湯を浅く張って10~15分間手足浴を。身体はなるべく水中から出しておくことで水中で汗腺を塞ぐことなく、開きやすくなって汗をかける体質に。
2週間程度で、全身の汗腺が活発になるので、部分汗や、汗っかきで悩んでいる方にもおススメです。
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