和食がユネスコの無形文化遺産に登録され、世界中から注目を浴びるようになりましたが、その基本となるものが『出汁』です。
今回はおいしさを引き出すだけではない出汁に秘められたたくさんの“うまみ”をご紹介していきます。
目次
・だしの効果
・だしの効果的な取り入れ方
・簡単なだしの取り方
【だしの効果】
だしには様々な種類がありますが、その中でも注目をしたいのが「昆布だし」と「カツオだし」です。
昆布だしに多く含まれるうま味成分の「グルタミン酸」には、食後の満足感を長続きさせる働きがあるとされています。昆布だしを取り入れることで間食を抑え、食べ過ぎ予防が期待できます。
昆布にはアルギン酸というネバネバした水溶性の食物繊維が多く含まれています。このアルギン酸には、血糖値の上昇を抑えたり、脂肪燃焼が期待できるほか、最新研究で免疫バランス調整のカギを握る、酪酸を増やすこともわかりました。
カツオだしに含まれるヒスチジンやアンセリンといったアミノ酸の仲間には、血行を促し、疲労回復を促す働きがあります。冷え防止はもちろん、冷えからくる肩こりや頭痛などを和らげる効果も期待できます。
カツオだしの摂取で緊張感や不安感などの総合的な感情状態が改善するという精神的なストレスを軽減する効果が期待できる。“幸せホルモン”とも呼ばれるセロトニンを増やす「トリプトファン」、セロトニンの合成に欠かせない「ビタミンB6」「ナイアシン」などが豊富に含まれるため、不眠症やウツウツとしがちな方にもオススメですよ。
【だしの効果的な取り入れ方】
だしの効果をアップさせる取り入れ方は、昆布だしのグルタミン酸と、カツオだしのうま味成分「イノシン酸」とを1対1の配合比率で合わせだしにすることです。これによって、うま味が7~8倍にもなると言われています。うま味がしっかり含まれていると、塩の量が少なくても満足度が高まりやすくなります。
だしは定番の和食はもちろん、コンソメの代用やグルタミン酸が豊富なトマトとの相性はバツグンです。さらに、お茶やコーヒーの代わりにだしを楽しむ方法はカフェインを含まず、血流を促す作用もあるので、寝入り前のドリンクに摂り入れてみてはいかがでしょうか。
また、幼いころからだしのうまみに触れることで、正常な味覚形成を助けると言われているため、食育の意味でもいろいろな場面でだしを積極的に摂取することはおすすめです。
【簡単なだしの取り方】
1.電子レンジを使う
水500mlに昆布(10センチ角)を1枚、カツオ節ひとつまみを入れ、電子レンジ(600W)で3分加熱します。出来上がりすぐでも使えますが、加熱後10~15分置くと、だしの風味が一層出てきます。
2.水につけておく
1Lの水に20gのだし昆布を入れておくだけ。一晩冷蔵庫に置いたら、昆布は取り出しましょう。このまま昆布だしとしても使えますし、加熱してカツオ節を加え、合わせだしをとることもできます。冷蔵し、2日程度で使い切りましょう。
3.コーヒードリッパーをつかう
コーヒードリッパーにフィルターを敷き5gのかつおぶしを入れます。そこに180mlのお湯を注いで濾すだけで一人分のかつおだしが出来ます。
だしを取るのは手間がかかったり面倒くさそうと思い込んでいる方も多いかと思いますが、コーヒーを淹れるような感覚で一人分からでも意外と簡単にできてしまいます。余分なものを入れずに素材のうまみを引き出す”だし”。おしいいだけでなく身体やこころにうれしい効果もたくさんありますので是非今日から試してみてはいかがでしょうか。